女子にも分かる自衛隊

自衛官と結婚して良かったこと・悪かったこと~③家事スキル


自衛官は家事ができるステキな旦那さま?!

前回までの
>>自衛官と結婚して良かったこと・悪かったこと~①宴会
>>自衛官と結婚して良かったこと・悪かったこと~②転勤
のつづき。友人・知人の自衛官妻さんたちに聞いた「自衛官と結婚して良かったこと、悪かったこと」です。
今回は、「良かったこと」によく挙がる、「自衛官の家事スキル」にまつわるエピソードをご紹介します。みなさんは、「自衛官」と「家事」の2つのワードの関係性に、どんなイメージを持っているでしょうか?

入隊後、最初の任務はお裁縫!


自衛官は、一般的な男性と比べると、「家事の能力が高い」といえるかもしれません。それは、営内(駐屯地・基地の中にある寮のようなところ)での生活で、「自分のことは自分でやる」ということを叩き込まれているからです。
例えば、お裁縫。自衛隊に入隊した新隊員は、駐屯地・基地での生活を始めると、まず「自分の迷彩服や作業服に名札を縫い付ける」という作業をします。得意な人、苦手な人に関わらず、全員自分でやります。階級章も自分で縫い付けますし、部隊章という所属部隊のマークも同じように縫い付けます。
自衛官は、自衛隊を辞めるまで常になんらかのものを繰り返し縫い付け続けているので、丁寧さに差はあるものの、誰でも簡単なお裁縫はできるようになります。

アイロン掛け、靴磨きもプロ級に!

入隊直後から叩き込まれる「家事」には、アイロン掛けもあります。自衛隊では「プレス」と呼ばれることが多いです。迷彩服・作業服や制服には、きっちりとアイロンを掛けなければなりません。これは毎日、洗濯の後に必ずします。時間に追われている中、限られた台数のアイロンを全員で共用するため、アイロン掛けもどんどんスピードアップしていきます。これもやはり得手不得手はありますが、自衛官はパパっとアイロンを掛けるワザを身に着けています。
そして、靴磨き。アイロンと同じように、自衛官はいつも靴をピッカピカに磨いています。これも忙しい中でも必ずしなければならないことなので、短時間できれいに磨けるようになります。

家族みんなのアイロン、靴磨きはパパ担当!

こういった背景から、「自衛官は家事スキルが高い。結婚したら『家事は妻がやるもの』ではなくて、ちゃんとやってくれそう」と思っている方は少なくないようです。……が、現実には「全員が全員そうである」とはいかないようです。
もちろん、家でも率先してこれらの家事をやる自衛官もたくさんいます。奥様方に聞くと、「わが家では、靴磨きはパパの担当。お願いしなくても、私の靴も子供の靴もピッカピカに磨いてくれる」とか、「自分の迷彩服にアイロンを掛けるついでに、私の通勤用のシャツや子供の制服にもアイロンを掛けてくれて嬉しい」といった声はとてもよく聞きます。私が見聞きする範囲では、自衛官は一般男性よりも、これらの家事を率先してやっているといえると思います。

自衛官でも、苦手な人はずっと苦手!

しかし、もちろんこれは「全員が」ではありません。元々これらの作業が苦手で「自衛隊では仕事だから仕方なくやっているけど、できることならやりたくない」という人、また苦手ではないけれど「家でまでやりたくない。アイロンだって奥さんにやってもらいたい」という人も。このタイプの自衛官と結婚された奥様方からは、「期待外れだった……がっかり」という声が聞かれます。
人間、期待が大きければ大きいほど、がっかり感も大きくなってしまうものです。また、「他の人と比べるものではない」と頭では分かっていても、「○○さんのところはパパがやってくれてるのに、なんでうちは……」と、同じ自衛官であることから他のご主人と比べてしまい、これもがっかり感を大きくする要因かなーと思います。
しかし、個人的にはこの「家でまでやりたくない」タイプの方を擁護したい気持ちもあります。というもの、私自身が同じタイプの人間だから。お裁縫は得意なんですが、アイロンと靴磨き……本当に苦手なんですよねぇ……。

自衛隊には料理のプロもいる!

結婚後、家庭での家事で一番大きなウエイトを占めるものは「料理」だと思います。毎日の献立を考えて、家族それぞれの好みや栄養、経済的なことまでを考慮して買い物をし、他の家事に追われながら調理をする……たまにであれば楽しんでできますが、毎日となると大変ですよね。
自衛官が身に着けている家事というと、「お裁縫、アイロン、靴磨き」がよく挙げられますが、私はこの「料理」もご主人にお任せしちゃえるシーンはかなりあるのではと思います。
自衛隊には、「糧食」「給養」と呼ばれる、調理専門職の隊員がいて、このお仕事をしている人は料理のプロです。陸・海・空で仕事分担のシステムが違うため、その程度に差はありますが、「がっつり調理専門職」の人、また「当番制で調理を担当したことがある」という人もいます。

簡単な料理は自然に身に着けられることも?!

さらに、これも陸・海・空で違いはあるのですが、特に陸上自衛官は「みんなで鍋を作って食べる」、「食材を持ち寄って簡単なバーベキューをする」という機会が多々あります。演習場などで大きな訓練を終えた後に、「さあ、みんなでごはん食べよう!」と、アウトドアなお食事会が開かれるわけです。
これは、お裁縫やアイロン、靴磨きのように「自衛隊が組織として教育している」というものではないのですが、お鍋やバーベキューをするときに、先輩が後輩にあれこれと教えたり、先輩のやっていることを横で見ながら少しずつお手伝いをして自然と身に着けたりしています。
家庭での日々の「料理」をすべて任せられるかどうかは、それこそ個人個人によると思いますが、こういった経験のあるご主人であれば、「今日はパパに任せてお鍋!」というイベントを作って家族みんなで楽しめるのではと思います。

感謝の気持ちで、家事スキルを発揮!

今回は、「自衛官と結婚して良かったこと」のうち、「家事ができる」のお話でした。
繰り返しになりますが、どの程度できるかどうか、やってくれるかどうかは人によるところが大きいです。しかし、どんなにやる気はなくとも、自衛隊で最低限のことは叩き込まれているので、奥様の出産や病気など不測の事態でも「なんとかなる」という心強さはあるかなーと思います。
「自衛官だからできて当たり前」と思っていると、ご主人の側もプレッシャーに感じてしまったり、奥様の側も感謝が少なくなりがちになる可能性もあります。「自衛官だから」とあまり期待を大きく持たずに、どんなささいな家事にもお互いに「ありがとう」の感謝を伝え合える関係を作っていくと、ご主人の能力も最大限に発揮してもらえるかもしれませんね。

岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら


2019-07-11 | 女子にも分かる自衛隊

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