意外と知らない自衛隊ファッション~特殊すぎるファッション編
消防隊員?いいえ、自衛官の「消防服装」です
前回まで
>>制服に迷彩服、特殊な専用服……意外と知らない自衛隊ファッション
>>意外と知らない自衛隊ファッション~プラスアルファ編
と、自衛官の服装や帽子などを見てきました。
今回は、一見「これって自衛官なの?」と思うような特殊すぎるファッションをご紹介します。
まずは、「消防服装」。「防火服」と呼ばれることもあります。
自治体の消防隊員さんは、「消防服装」や「消防用被服」というものを着用しますが、同じものです(メーカーなどによる違いはありますが)。
当番制で行う、駐屯地や基地の消防活動
消防のための服は「消防隊員が着る物」というイメージが一般的だと思いますが、自衛隊にも消防隊のようなチームがあり、活動時に着用します。駐屯地や基地内には弾薬や燃料など、火災の危険性をともなう物がたくさんあるので、自衛隊の中にも自前の消防チームを作っているんです。
通常、駐屯地や基地の消防チームは、当番制です。当直と同じように、隊員が交代で消防の当番を務めます。もし駐屯地・基地内で火災が発生したときには、この当番の消防チームが消火活動にあたります。
また、駐屯地や基地の「外」で発生した火災にも、この自衛隊の消防チームが活動をすることがあります。
>>「なにか」が起こったときの自衛隊の活動~【その1】災害派遣
で、「災害派遣には『近傍派遣』というものがある」とお勉強しましたが、駐屯地や基地のご近所で発生した火災に駆け付けるのも、この自衛隊の消防チームです。
飛行場には専門の消防部隊が!
……と、以上は駐屯地や基地の当番制の消防チームのお話でしたが、当番制ではなく、消防を専門とする部隊もあります。
消防を専門とする部隊はどんなところにいるのかというと、飛行場です。
航空機が離着陸するときに事故が起きると、大きな火災が起こる可能性があります。そこで、飛行機が離着陸する空港では必ず、消防隊員を乗せた消防車が滑走路脇で待機をしています。
同じように、自衛隊の飛行場にも必ず消防専門部隊の自衛官が消防車に乗って、航空機が離着陸するときには必ず滑走路脇で待機をしているんです。
東日本大震災での福島第一原発事故では、自衛隊の消防車が冷却水の放水を行いましたが、この任務を担当したのも飛行場のための消防専門部隊でした。
海上自衛隊には、浸水や火災に備えた部隊も
画像引用:八戸航空基地・海自のファッション・特殊服
また、海上自衛隊の艦艇にも消防に対応する部隊があります。「応急工作」という名前の部隊なのですが、この部隊の任務は「艦艇を守ること」。
洋上に出た艦艇で浸水や火災が発生すると、乗員に逃げ場はなく、大変なことになってしまいます。そこで、艦艇には応急工作を専門とする隊員がいて、消防の役目も負っているというわけです。
このように、自衛隊には一見「消防士さんかな?」という服装をした自衛官がいるんです。
ダイバーな自衛官、「潜水員」「水中処分員」
画像引用:『伊勢志摩経済新聞』
一見、自衛官には見えないファッション……お次は「潜水服」。こちらは、いわゆる「ダイバー」のような服装です。ウエットスーツやドライスーツを着て、背中に大きなボンベを背負った格好をしています。
自衛隊では、海上自衛隊の「潜水員」「水中処分員」という隊員がこのダイバーのファッションをしています。「潜水員」「水中処分員」と耳慣れない言葉が出てきましたが、彼らのお仕事に共通するのは「海の中に潜ること」。
艦艇が海で停泊するための錨を扱う作業や、艦艇の底の検査、また海中の機雷や不発弾の処理、そして潜水艦が海中で遭難したときの救助といったお仕事です。
海中での危険なお仕事なので、彼らは「スクーバ課程」というとても厳しい訓練を経て、それぞれの職に就いています。
東日本大震災では、彼らが海に潜って行方不明者の捜索活動を行いました。
救難員は、ダイバー+特殊なベストを着用
画像引用:航空自衛隊・秋田分屯基地
そして、ダイバーのような服装といえば、もうひとつ「救難員」。彼らのお仕事は、海上での救難・救助で、「救難服装」と呼ばれる格好をしています。
救難員も海での活動をするのでウエットスーツやドライスーツ、背中の大きなボンベと、「潜水員」「水中処分員」同じような格好なのですが、特徴はベスト。
海で遭難した人を救助するため、発煙筒やライトといった特殊な物を身につけるためのベストを着ています。
キングオブ自衛隊派手ファッションは「航空誘導服」!
画像引用:wpo調査報告書2.0
自衛隊のファッションは基本的に地味な色やデザインが多いのですが、個人的に「自衛隊で一番派手なファッション」だと思っているのが、「航空誘導服」。航空機を誘導する隊員が着る服です。
旅客機が離着陸をする空港でも、飛行機を誘導する人は機上からでも分かりやすいように赤や黄色など目立つ色の物を着ているのですが、自衛隊の航空誘導服はさらに派手なデザイン!競馬の騎手が着るような柄です。
こんな派手なファッションの自衛官はほかにはいないので、航空機のパイロットさんも一目で分かりますね。夜はさらに「誘導灯」を手に持ち、見やすさを高めています。
画像引用:陸上自衛隊HP/海上自衛隊HP/航空自衛隊HP
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