女子にも分かる自衛隊

自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「警務科」「衛生科」編~


「自衛隊のお仕事」シリーズ、今回はこの2つ!

>>>意外と知られてない?!自衛官のお仕事
>>>まだまだある! 自衛隊のお仕事
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「航空科」編~
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「化学科」「輸送科」編~

に引き続き、陸上自衛隊のお仕事解説です。
これまで、
○普通科→自分の身ひとつ(+小さめの武器)で戦う人たち
○施設科→土建屋さん+地雷処理
○通信科→固定電話、携帯電話、ネット回線的なお仕事
○機甲科→戦車と偵察を担当
○野戦特科→地上に向かって大砲ドーン!
○高射特科→空に向かってミサイルドーン!
○航空科→飛行機とヘリコプター
○化学科→生物・化学兵器、放射性物質とかに対応
○輸送科→ヤマト運輸とか日通とか佐川急便とかの陸上自衛隊バージョン
をご紹介してきました。今回は、
○警務科
○衛生科
を詳しく見ていきたいと思います。

事件や事故の対応をする、陸上自衛隊のおまわりさん

では、まず「警務科」から。
「警務科」とは、ざっくりいうと「陸上自衛隊のおまわりさん」。自衛隊の中で事件や事故が起きると、警務科の隊員さんが出動します。

私は予備自衛官や取材者として自衛隊に関わり始めて12年になりますが、残念ながらまだ警務科隊員さんたちが事件や事故の対応をしているところを見たことがありません。
残念ながら……というより、「幸い」なんですけどね。事件や事故はないほうがいいことですし。

ですが、事件や事故の場ではなく、「特別儀仗」という任務でみなさんも警務科隊員さんたちの活躍を目にすることができます。「特別儀仗」を担当するのは、警務科隊員さんたちの中でも一番の有名人、「第302保安警務中隊」。第302保安警務中隊は東京の市ヶ谷駐屯地にいる部隊です。

「特別儀仗」と「栄誉礼」も警務科隊員の大事なお仕事

陸上自衛隊HPより)

特別儀仗とは、来日した外国の大統領など来賓をお迎えするときの行事。特別儀仗は、第302保安警務中隊の中から「特別儀仗隊」が作られて行われます。
また、新しい防衛大臣が着任するときには、特別儀仗隊が「栄誉礼」という「特別なごあいさつ」をしたりします。
外国からの来賓のお迎え、新防衛大臣の着任はテレビのニュースでもよく放映されますので、ぜひ注目してみてください。

外国からの来賓のお迎えや新防衛大臣の着任は関係者でなければテレビやネットで見ることしかできませんが、私たちも生で間近に特別儀仗隊を見ることができるイベントがあります。
それは、10月に行われる「観閲式」と「航空観閲式」。これらのイベントには内閣総理大臣が出席するのですが、特別儀仗隊が内閣総理大臣への栄誉礼を行うために登場します。
栄誉礼そのものももちろんですが、入場してからの行進、銃の上げ下ろし、整列などなどすべてが一糸乱れぬ動きでとても感動しますよ!

とはいえ、現在これらのチケットは大人気で入手するのはなかなか困難なのですが……。本番前に行われる予行はまだ入手できる可能性があるかと思いますので、ぜひいろんな情報をチェックしてみてください!
チケットが手に入らなかった場合は、ネットでの中継をぜひどうぞ……。

イベントでは「MP」の文字に注目しましょう!

特別儀仗隊はこのようなスペシャルなシーンでしか見ることはできませんが、他の警務科隊員さんの姿はもう少しハードル低く見ることができます。目印は「MP」。
自衛隊イベントでは、警備のための隊員さんが会場内のいろんなところに配置されます。私たちが安心してイベントを楽しめるように、警備の目を光らせてくれています。
イベントの警備には、警務科の隊員さん、警務科ではない隊員さんのどちらもが就く場合があるのですが、警務科隊員さんは腕に「MP」と書かれた腕章を付けています。「MP」は「Military Police」の略。警務科隊員である印の腕章です。
もし、イベントで「MP」の腕章を付けている隊員さんを見かけたら、「おっ!警務科の隊員さんだな」とチェックしてみてくださいね!

警務科隊員は、他の職種とはちょっと違う!それは定年

さて、ここで警務科トリビアをひとつ。

>>>自衛隊の「階級」を覚えてみよう!

で「自衛官は定年が早い」と書きましたが、警務科の隊員さんは例外です。
他の職種の場合、早ければ54歳で定年を迎えるのに対し、警務科の隊員さんの定年は60歳。
警務科の隊員さんと結婚すると、「定年が遅くて安心!」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

定年が60歳の職種には「衛生科」もあります。
ということで、警務科のお次は「衛生科」のご紹介。

陸上自衛隊の医療を担当する、衛生科隊員たち

陸上自衛隊HPより)

衛生科はざっくりいうと、「お医者さん、薬剤師さん、看護師さんなど陸上自衛隊の医療チーム」。自衛官である医師は「医官」、薬剤師は「薬剤官」、看護師は「看護官」と呼ばれています。
この医官、薬剤官、看護官さんたちは、全国の駐屯地にある「医務室」に勤務して、自衛官たちのケガ・病気の治療や予防のお仕事をしています。また日本全国には「自衛隊病院」という病院がいくつかあるのですが、こちらにも医官、薬剤官、看護官さんたちが勤務しています。
自衛隊病院は、自衛隊関係者ではない人でも受診できるところがありますので、ひょっとしたらみなさんも衛生科隊員のお世話になることがあるかもしれませんね。

余談ですが、自衛隊関係者ではないある友人は、夜遅くに階段で転んで顔を切り、救急車で運ばれました。運ばれた先は、偶然にも自衛隊病院。
医官さんが「女性だから傷跡が残らないように」と親身に治療してくださったそうで、顔の傷はまったく分からないほどに回復。友人は先日きれいな花嫁さんになりました。

衛生科隊員を生み出す、防衛医科大学校

陸上自衛隊HPより)

駐屯地の医務室、そして自衛隊病院での勤務以外では、「防衛医科大学校」で研究や学生の指導をするというお仕事もあります。
「防衛医科大学校」とは、自衛隊の医官、看護官となる隊員を育成する大学校。高校を卒業した人が、他の大学医学部や医科大学と同じように学んでいます。ですが、卒業後は自衛官となるため、カリキュラムの中にはいわゆる「自衛隊の訓練」もあるのでそこは少し特殊ですね。
自衛隊の医官、看護官のほとんどは、この防衛医科大学校の出身です(防衛医科大学校に看護学科ができたのは最近で、以前は「高等看護学院」という学校だったため、こちら出身の看護官さんもいます)。防衛医科大学校は略して「ぼうえいいだい」「ぼういだい」と呼ばれています。

海外派遣や災害派遣でも、衛生科隊員は活動しています

陸上自衛隊HPより)

そして、衛生科隊員たちのお仕事として最近増えてきたのが、国際的な活動。
自衛隊が海外派遣を行っているのはみなさんもご存じだと思いますが、たくさんの隊員が海外に派遣されるということは、当然医療面でのサポートも必要となります。そこで、衛生科隊員も一緒に海外に行き、隊員が病気やケガをしたときは治療にあたります。また海外では気候が日本とは大きく違ったり、衛生環境が良くなかったり、日本ではあまり罹らないような病気が流行していたりするので、これらを予防するというのも衛生科隊員の大切な役割です。

また、海外では自衛官への医療だけでなく、現地の人々への医療も支援として行うことがあります。
現地の人々の治療を行ったり、衛生的なアドバイスをしたり……と、衛生科隊員たちのお仕事は世界各国でとても喜ばれています。

日本国内でも、大きな災害が起きたときには、衛生科隊員が被災者への医療支援を行うことがあります。本来は「自衛官のための衛生科隊員」なのですが、その力は私たち、そして世界中の人々へも発揮されているんです。

みなさんの街の駐屯地にも、警務科と衛生科の隊員が

今回は、警務科、衛生科のお話でした。
全国にある駐屯地には必ず、警務科の部隊(警務隊)と衛生科の部隊(衛生隊)があります。実は、みなさんのお近くの駐屯地にも、警務科隊員と衛生科隊員は必ず存在しているんです。

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2017-02-18 | 女子にも分かる自衛隊

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