女子にも分かる自衛隊

自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「航空科」編〜


飛行機とヘリコプターの「航空科」

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陸上自衛隊HPより)

>>>意外と知られてない?!自衛官のお仕事
>>>まだまだある! 自衛隊のお仕事

に引き続き、陸上自衛隊のお仕事解説です。
これまで、
○普通科→自分の身ひとつ(+小さめの武器)で戦う人たち
○施設科→土建屋さん+地雷処理
○通信科→固定電話、携帯電話、ネット回線的なお仕事
○機甲科→戦車と偵察を担当
○野戦特科→地上に向かって大砲ドーン!
○高射特科→空に向かってミサイルドーン!
をご紹介してきました。今回は、「航空科」のお話をします。

航空科は「飛行機とヘリコプター」のお仕事を担当しています。
陸上自衛隊には8種類のヘリコプターがあります。自衛隊のヘリコプターの詳しくは
>>>ヘリコプターから見る、陸・海・空の役割

でご紹介しましたのでごちらをご覧ください。

そしてあまり知られていないんですが、陸上自衛隊には飛行機もあります。
「自衛隊の飛行機」というと「航空自衛隊のもの」、という印象を持たれがちなんですが、実は陸上自衛隊にも「LR-2」という飛行機がいるんです。

自衛隊ツウになれる?「LR-2」「固定翼機」「回転翼機」

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陸上自衛隊HPより)

「陸上自衛隊にはLR-2という飛行機がある」
これ、よほど自衛隊に詳しい人くらいにしか知られていないので、覚えておくとちょっと「自衛隊ツウ」になれるかもしれません。

おまけにもうひとつ、「ちょっと自衛隊ツウになれるかも?」な情報を。
一般的には「飛行機」「ヘリコプター」と呼ばれているあの乗り物たちですが、自衛隊で正式には「固定翼機」「回転翼機」という言い方をします。
飛行機は「翼」を「固定」している状態で飛ぶので「固定翼機」、ヘリコプターは「翼」が「回転」している状態で飛ぶので「回転翼機」です。

自衛隊でも「ヘリコプター」「ヘリ」という言葉はよく使われますが、「飛行機」という言い方はあまり聞きません。ほとんどの場合、「固定翼機」「固定翼」という名前を使います。
「固定翼機」「回転翼機」、この言葉をさらっと使うと、自衛官さんに「えっ?詳しいですね!」とちょっと驚いてもらえるかもしれませんね。

LR-2の任務のひとつは「偵察」

陸上自衛隊の固定翼機(飛行機)、「LR-2」。これは、「連絡偵察機」という種類のものです。
自衛隊の固定翼機(飛行機)には、輸送をするための「輸送機」、救難活動をするための「救難機」といったものがありますが、LR-2は連絡と偵察をするための「連絡偵察機」です。

「連絡偵察機」のうちの「偵察」は、
>>>まだまだある! 自衛隊のお仕事

の「偵察バイク」で解説したように、ざっくり言えば「下見」のようなものです。

例えば、地震などの災害が起きたときに、このLR-2は被災地上空を飛んで、どんな被害が発生しているのかを確認し、救助活動、支援活動のための情報収集をします。

指揮官を輸送する「指揮連絡」もLR-2のお仕事

そしてもうひとつの「連絡」。一般的に「連絡」という言葉は「情報を伝える」という意味で使われますが、自衛隊には「指揮連絡」という言葉があります。
「指揮連絡」とはどういう意味なのかと言うと、「指揮官を輸送すること」です。自衛隊には、作戦や行動など、部隊がなにをするのかを判断して指示をする役割を持った「指揮官」と呼ばれる人たちがいて、通常、部隊のリーダーがこの「指揮官」を務めます。災害派遣など、なにか大きな任務をするときには各部隊の指揮官たちが緊急に集まって会議を行ったりするんですが、そんなときには
「指揮官を輸送する」=「指揮連絡」
が必要です。

「連絡偵察機」の「連絡」とは、この「指揮連絡」のこと。LR-2は、指揮連絡と偵察をするための固定翼機(飛行機)なんです。
(災害派遣の急患輸送でも、LR-2は活躍しています)

カミングスーン!固定翼機でも回転翼機でもない航空機

さて、これまでヘリコプターの「回転翼機」、飛行機の「固定翼機」のお話をしてきましたが、陸上自衛隊には近々、回転翼機でも固定翼機でもない航空機が配備される予定です。それは「ティルトローター機」。

「ティルトローター機」とはどんなものなのか。
翼は回転翼機(ヘリコプター)のようにクルクル回って飛びます。そして、飛んでいるときはこの翼が前を向いて固定翼機(飛行機)みたいに速く飛べて、翼が上を向けば回転翼機(ヘリコプター)みたいに滑走路がなくても離着陸ができて……と、「ティルトローター機」はこれまでにないまったく新しい航空機です。固定翼機(飛行機)と回転翼機(ヘリコプター)の「いいとこ取り」のような乗り物ですね。米軍で「オスプレイ」という名前がついているあの乗り物……といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
自衛隊に配備されたら、この乗り物は「オスプレイ」と呼ばれるのか、また別の呼び方になるのか……はまだ分かりませんが、現在は「ティルトローター機」という言葉が使われています。

自衛隊は、「離島で発生した急患を航空機で輸送する」というお仕事も行っているんですが、この輸送は一分一秒で患者さんの生死が分かれることもあります。少しでも早く病院へ運びたいので、速度の速い固定翼機(飛行機)を使うのが一番なのですが、滑走路がなく、固定翼機(飛行機)が行けない離島もたくさんあります。そういう離島では回転翼機(ヘリコプター)で輸送をするのですが、回転翼機(ヘリコプター)は固定翼機(飛行機)ほどのスピードは出せません。
……というジレンマは、これまでは「どうしようもないこと」でした。しかし、固定翼機(飛行機)と回転翼機(ヘリコプター)の「いいとこ取り」なティルトローター機はこの「どうしようもないこと」が解決できる、夢のような航空機なんです。
今後ティルトローター機が自衛隊に配備されれば、離島の急患輸送でも、災害時の傷病者輸送でも、これまで救えなかった命が救われるようになるだろうな……と個人的には思っているので、ティルトローター機の配備を心待ちにしています。

◯回転翼機(ヘリコプター)
◯固定翼機(飛行機)
◯ティルトローター機(オスプレイ)
今後はこの3つをセットで覚えておくと、より自衛隊のことが分かりやすくなると思います。

航空科には、パイロット、整備担当の人が所属

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陸上自衛隊HPより)

では、話を「航空科」に戻します。
航空科は、これら回転翼機と固定翼機(そして将来的にはティルトローター機も)を担当しています。
ので、陸上自衛隊のパイロットさんたちは全員、この航空科の所属です。そしてパイロットさんたちだけでなく、回転翼機や固定翼機の整備を担当する人たちも航空科の所属です。

そしてこれもあまり知られていないんですが、航空科にはパイロットさんたち、整備担当の人たちだけでなく、「航空管制」をする人たち、「気象」を担当する人たちもいます。

空の安全を守る、「航空管制」のお仕事

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自衛官募集HPより)

「航空管制」とは、「空の交通整理」のようなお仕事。
みなさんも、空港の滑走路脇にあるタワーのような「管制塔」を見たことがあるかと思います。この中では、空港への離発着のための航空管制が行われていて、たくさんの飛行機が安全に滑走路に入れるように交通整理をしています。

通常、空港の航空管制は国土交通省の職員さんが担当するのですが、自衛隊が管理する空港では自衛官が航空管制を行っています。旅客機と自衛隊機が一緒に使っている新千歳空港や那覇空港などは、私たちが乗る旅客機も自衛官が航空管制をしています。
(新千歳空港や那覇空港の航空管制は航空自衛官が担当)

空の安全に欠かせないもうひとつのお仕事、「気象」

そしてもうひとつの「気象」。固定翼機や回転翼機が安全に飛ぶには、気象の正確な判断が欠かせません。私たちが天気予報で見るようなことだけでなく、もっと詳しい情報が必要です。
そこで、自衛隊では自分たちで気象予測のお仕事もしています。気象予報士の資格を持った自衛官もいるんですよ。
「航空管制」と「気象」、これも航空科に必要不可欠な、大事な大事なお仕事なんです。

女子に人気の航空科装備品は……CH-47!

スリングベルト25.01.15 大臣・第1空挺団初度視察(初降下訓練)102

陸上自衛隊HPより)

さて、今回は航空科のご紹介でした。
これまでの職種紹介よりも丁寧に詳しく書いてしまいましたが、すみません、個人的な趣味が入ってしまいました。
というのも、私は「CH-47」という回転翼機(ヘリコプター)が大好きなんです。後ろ姿がカエルちゃんそっくりで、「ヤッターマン」のメカのように可愛くて、勝手に「ヤッターガエル」という名前をつけています。

「CH-47」はフォルムが丸っこくて、私だけじゃなく女子たちに大人気です。CH-47のぬいぐるみを自作している人もいるんだとか。
みなさんも、自衛隊イベントにお出かけするときは、ぜひCH-47の可愛さを堪能してください!
(フォルムは可愛いものの、回転翼機では一番大きいので存在感もバツグンですよ!)

岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら
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2017-01-26 | 女子にも分かる自衛隊

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