女子にも分かる自衛隊

自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「会計科」「武器科」編~


「自衛隊のお仕事」シリーズ、今回は「お金」と「武器」です

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に引き続き、陸上自衛隊のお仕事解説です。
これまで、
○普通科→自分の身ひとつ(+小さめの武器)で戦う人たち
○施設科→土建屋さん+地雷処理
○通信科→固定電話、携帯電話、ネット回線的なお仕事
○機甲科→戦車と偵察を担当
○野戦特科→地上に向かって大砲ドーン!
○高射特科→空に向かってミサイルドーン!
○航空科→飛行機とヘリコプター
○化学科→生物・化学兵器、放射性物質とかに対応
○輸送科→ヤマト運輸とか日通とか佐川急便とかの陸上自衛隊バージョン
○警務科→陸上自衛隊のおまわりさん
○衛生科→お医者さん、薬剤師さん、看護師さんなど陸上自衛隊の医療チーム
をご紹介してきました。今回は、
○会計科
○武器科
を詳しく見ていきたいと思います。

陸上自衛隊のお金を管理する、会計科

陸上自衛隊HPより)

会計科とは、そのまま「会計を担当する人たち」です。
「普通科」「高射特科」「機甲科」のような自衛隊らしい単語を聞くと「なにそれ??」と思ってしまいますが、「会計科」はみなさんの会社にも部署があったりすると思いますので、分かりやすいですよね。
自衛隊では、隊員のお給料や、部隊で必要なものを買うお金などなど、お金の出入りはすべて会計科の部隊「会計隊」のみなさんが担当しています。

予算が豊富……とはお世辞にも言えない自衛隊なので、というよりどの部隊も常にカツカツでやりくりをしているので、会計科のみなさんはさぞかしご苦労をされていることと思います。

予備自衛官手当ても、もちろん会計科のみなさんが処理しています

私も予備自衛官として手当てを頂いているので、会計科のみなさまにはいつもお世話になっております。
ちなみに、予備自衛官の手当ては月に4000円です。これを高いと見るか、安いと見るかは人それぞれですが……というか、たいがい「安っ!」と言われます。「高い」と言われたことはまだ一度もないですね。「そのへんの高校生の方が、まだいいお小遣いもらってるんじゃないの?」と言われることも。
ちなみに、フィリピン人の友人に「ジャパンアーミーのリザーブは月にいくらもらえるの?」と聞かれてこの金額を伝えると「ファッ!?そんなに安いの?ジャパンなのに?お金持ちのジャパンなのに?」と、とても驚かれました。

個人的には、この月々の手当ては「災害や有事など、なにかあったときのために常に待機していることへの代金」だと考えているので、「まあこんなもんかな」と思っているんですが。
でも、「欲を言えば、スポーツクラブの月会費くらいの金額をもらえるとありがたいんだけどなぁ」とは心の中でこっそり思ってたりします。万が一招集されたときのために体は鍛えておかなければならないので(仕事を言い訳に自慢できるほどはやれていませんが)、予備自衛官手当てでスポーツクラブ代がまかなえれば……と、本当に個人的な思いなんですが。

予備自衛官のもうひとつの手当て「訓練手当て」

ですが、この月4000円の予備自衛官手当て以外にも、もらえる手当てがあります。
「訓練に出頭したときにもらえる手当て」です。
訓練に出頭すると、1日に8100円がもらえます。

これも、高いと見るか安いと見るかは人それぞれです。
24時間ずっと駐屯地から出られないので(特別な場合など外出が認められることもあります)、24時間拘束で8100円と考えると「それならマックでバイトした方がいいじゃん!」と言われることもあります。まあ、訓練はバイトじゃないんですけどね。

そして予備自衛官にはいろんな職業の人がいます。
予備自衛官は普段は別のお仕事をしていて、訓練や災害、有事のときなどだけに招集されるので、自衛隊とは別のお仕事で生計を立てています。

中には、お医者さんや弁護士さん、会社経営者……なんて高収入な人も。
そういったみなさんも一日8100円で訓練に出頭しているわけですから、高収入にほど遠い私はいつも「みんなえらいなぁ」と感じています。まあみなさん、お金でやってるわけではないんですけど。

ちなみに、前述のフィリピン人の友人にこの「一日8100円」を伝えると、「すごい!そんなにもらえるの?!さすがジャパンだね!」と言われました。
……と、話が逸れましたが続いては「武器科」です。

武器の整備と手配、そして不発弾処理の「武器科」

陸上自衛隊HPより)

「武器科」とは、ざっくり言うと「武器の整備と不発弾処理」の人たちです。
普通科で使う銃、野戦特科で使う砲……こういった武器の簡単な整備はそれぞれの職種の部隊で行うのですが、大がかりな整備、そしてそれらの手配なんかを武器科が担当しています。

そして武器科のもうひとつの重要なお仕事は、「不発弾処理」です。
みなさんも、テレビで「どこそこで不発弾が見つかったので自衛隊が出動……」なんてニュースを一度は見たことがあるかと思います。それにともなって、周辺住民が避難をしたり、沿線の電車が運休したり……と、場所によっては大きな影響がでることもあります。

見つかる不発弾のほとんどは、第二次世界大戦中のものです。
今年で終戦から72年を迎えますが、まだ時々不発弾が見つかって、自衛隊が処理をしています。

決して「時々」ではない、不発弾処理

Wikipediaより)

と今、不発弾が見つかるのは「時々」と書きましたが……。
日本に住むほとんどのみなさんは、不発弾処理のニュースを聞くのは「時々」だと思います。
不発弾処理のために交通に影響が出て通勤通学が大混乱……なんてことが大きなニュースになるのは、「時々」ですよね。

でも、これが「時々」ではない地域もあります。
それは、沖縄。
みなさんもご存じのように、第二次世界大戦で沖縄は「戦場」となりました。ですので、当時沖縄にはたくさんの砲弾が落とされたり残されたりして、現在でもたくさんの不発弾が見つかっています。

沖縄県の那覇駐屯地には、「第101不発弾処理隊」という部隊があります。この部隊では、主に沖縄県内で見つかった不発弾の処理を行っています。
第101不発弾処理隊は「第15旅団」というところに所属をしているのですが、第15旅団のサイトにある「最新ニュース」をぜひ一度見てみて下さい。

この中に「不発弾処理」という項目があるのですが……その多さにびっくりしませんか? 実は沖縄では、今もこんなに頻繁に不発弾処理が行われているんです。
全国的に見ても、東京や大阪といった第二次世界大戦で大きな空襲があった地域は、他の地域よりも不発弾が見つかることが多く、その処理をする回数も多いといわれています。それでも、東京や大阪で「不発弾処理」をニュースで聞くのは本当に「時々」ですよね。
沖縄以外の地域に住んでいる人にはあまり知られていませんが、実は不発弾処理のお仕事は決して「時々」ではないんです。

自衛隊には4つの「不発弾処理隊」が

ちなみに、那覇駐屯地の「第101不発弾処理隊」以外にも、
・埼玉県、朝霞駐屯地の「第102不発弾処理隊」
・京都府、桂駐屯地の「第103不発弾処理隊」
・佐賀県、目達原駐屯地の「第104不発弾処理隊」
の3つの不発弾処理隊があります。不発弾が見つかった場所により、これらの部隊がその処理に出動します。

ということで、今回は「会計科」と「武器科」のお話でした。
どちらも陸上自衛隊の中ではそれほど人数が多いというわけではなく、どちらかというと「あまり目立たない、縁の下の力持ち」な職種ですが、みなさんがこれから出会う自衛官にも会計科、武器科の隊員がいるかもしれません。
ぜひ、頭の片隅にでもこの二つの職種を置いておいてくださいね!

岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら
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2017-03-04 | 女子にも分かる自衛隊

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