自衛官はニュータイプの時代へ!
自衛官のイメージは筋肉!?
私事ですが、近々新しい本を出版する予定があり、これまで1年以上かけてたくさんの部隊のたくさんの自衛官さんたちを取材してきました。この本では、自衛隊とはどういう組織なのか、自衛官はどんな仕事をしているのか、そして自衛官たちの人となりを紹介しているのですが、取材を通しさまざまな自衛官さんたちとお話をしてきて、しみじみと感じたことがあります。それは、「もうすぐ『自衛官』に対するイメージがガラッと変わるときがくる! というか、もうすでにじわじわと変わってきている!」です。
自衛官との婚活を希望されている皆さんも、「自衛官」にはいろいろなイメージを持っていると思います。中でも、「自衛官=筋肉」といったような、肉体的なイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。それが、これからはちょっと変わるかも……と、今回はそんなお話です。
自衛隊の任務は「新しい領域」へ
「自衛官=筋肉」というイメージは、多くの日本人に長年根強くあると思います。私も自衛隊とまったく関わらずに生きていた頃は、自衛官に対して「なんかよく知らないけどムッキムキ」というほわほわしたイメージしかもっていませんでした。
では、なぜそもそもこの「自衛官=筋肉」というイメージが根付いたのでしょうか。それは、「自衛官は体力を使う仕事をしている」という理由からだと考えられます。
しかし、これからの自衛隊は「新しい領域」での防衛も担うことになりました。そのひとつが「宇宙」。急に「宇宙」なんて単語が出てくるとびっくりしてしまう方も多いと思いますが、この「新しい領域」が「これからの自衛官」にも大きく関わってきますので、気楽に読んでみてくださいね。
「宇宙作戦隊」が誕生!
2020年5月、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」という新しい部隊が誕生しました。SNSでは「自衛隊が宇宙に!?」と驚いた方がたくさんいらっしゃいましたが、実は私もそのひとり。数年前、「米軍が『宇宙軍』を作る」というニュースを見たときは「ええ!? 米軍は宇宙人と戦うの? スターウォーズ?」と思ってしまいました。でも、その後お勉強をして「なるほど」と納得しました。
古来より世界中で、戦闘の場となるのは陸と海だけでした。時代が進むと、航空機の発達によってその場は空にも広がり、各国の「陸軍」、「海軍」に航空部隊が置かれるようになりました。航空部隊の一部は「空軍」として独立し、自衛隊にも「航空自衛隊」があります。そして今、その領域は「宇宙」にも広がるようになりました。
宇宙でのお仕事では、これを守る!
皆さんが持っているスマートフォンには、位置情報を取得するためのGPSが付いていますが、GPSは宇宙にある人工衛星を利用してその機能を果たしています。天気を予測するためには気象衛星を利用しますし、また通信や放送にも衛星を使っています。
衛星は、現代を生きる私たちの生活に深く浸透しています。自衛隊も同じくこれらの機能を活用し、日本の安全を守っているのですが、宇宙空間には「スペースデブリ」と呼ばれる宇宙ゴミが急増しており、もしスペースデブリと人工衛星が衝突してしまうと、衛星の機能が著しく損なわれる危険性があります。また日本の周辺国では、人工衛星に接近して妨害や攻撃、捕獲をする「キラー衛星」の開発・実証試験が進められているといわれています。そこで、スペースデブリやキラー衛星への対処を行うため、航空自衛隊に宇宙作戦隊が置かれました。
2つ目の「新しい領域」
「新しい領域」には、「サイバー空間」もあります。私たちは、インターネットなどの情報通信ネットワークを日常的に利用していますが、現在、世界では政府機関や軍隊、また一般企業や学術機関の情報通信ネットワークがサイバー攻撃を受ける事例が多発しており、重要技術、機密情報、個人情報などが標的となることもあります。
自衛隊でも、サイバーセキュリティ―の脅威に対応するため、陸・海・空自衛隊共同の「サイバー防衛隊」が作られました。自衛隊の活動基盤であるサイバーの防衛は今後より強化する必要があり、サイバー防衛を担当する隊員を育成するため、教育体制の整備が行われています。また同時に、ITスキルを持った人、これからその技術を修得する意欲のある人の採用も進められています。
これまでになかった攻撃からの防衛も
もうひとつ、「新しい領域」として挙げられるのが「電磁波」です。電磁波は、私たちの生活でもテレビ、通信、GPSなどさまざまな用途で利用されていますが、自衛隊でも同じように通信や警戒・監視などで電磁波を使用しています。
電磁波領域でも、電波や電子機器を妨害したり、レーダーや通信装置に大きな負荷をかける「電磁波攻撃」の脅威があります。もし電磁波攻撃を受けると、通信に大きな影響を及ぼし、自衛隊の任務ができなくなる危険性があります。そこで、電磁波攻撃に対処する「電子戦システム」を配備するといった対策を進めています。
自衛官の魅力も「新しい領域」に!?
……と、3つの「新しい領域」、宇宙、サイバー、電磁波をさらっと解説しました。
「自衛官は体力を使う仕事をしている」ことから、「自衛官=筋肉」というイメージが強かったのですが、これからは体力だけでなく、こういった新しい領域でのお仕事をする隊員が増えていきます。もちろん、体力を使うお仕事もなくなるわけでなないので、筋肉マッチョ的な自衛官が消えることはないのですが、取材でお話を聞いたある若手幹部の方も「自衛隊はこれまで筋肉的なイメージだったけど、これからは違う」とお話をされていました。
自衛隊の任務が多様化していき、今後はいろいろな能力を持った自衛官、さまざまなタイプの自衛官が増えていきます。
パーティーやイベントでは、これまで以上にバラエティに富んだ魅力のある自衛官と出会えるようになると思いますので、ぜひ楽しみにしてくださいね!