女子にも分かる自衛隊

自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「情報科」「需品科」「音楽科」編~


「自衛隊のお仕事」シリーズ、今回は「情報」と「モノ」と「音楽」です

前回、前々回と別のお話を挟みましたが、今回は、
>>>意外と知られてない?!自衛官のお仕事
>>>まだまだある!自衛隊のお仕事
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「航空科」編~
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「化学科」「輸送科」編~
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「警務科」「衛生科」編~
>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「会計科」「武器科」編~
に引き続き、陸上自衛隊のお仕事解説です。

これまで、
○普通科→自分の身ひとつ(+小さめの武器)で戦う人たち
○施設科→土建屋さん+地雷処理
○通信科→固定電話、携帯電話、ネット回線的なお仕事
○機甲科→戦車と偵察を担当
○野戦特科→地上に向かって大砲ドーン!
○高射特科→空に向かってミサイルドーン!
○航空科→飛行機とヘリコプター
○化学科→生物・化学兵器、放射性物質とかに対応
○輸送科→ヤマト運輸とか日通とか佐川急便とかの陸上自衛隊バージョン
○警務科→陸上自衛隊のおまわりさん
○衛生科→お医者さん、薬剤師さん、看護師さんなど陸上自衛隊の医療チーム
○会計科→陸上自衛隊の中で動くお金の管理
○武器科→武器の整備と不発弾処理
をご紹介してきました。

今回は、陸上自衛隊16職種のうち、残りの3つ、
○情報科
○需品科
○音楽科
です。

陸上自衛隊で一番新しい職種、情報科

では、まず「情報科」から。
情報科は、最近できた職種です。他の15コの職種は、1954年に陸上自衛隊が創設されたときからあるんですが、情報科は2010年に新しく作られました。
作られてからまだ10年も経っていない、できたてホヤホヤな職種です。

情報科のお仕事は、ざっくり言うと「データで他の職種の人たちをバックアップする」こと。
じゃあ、情報科ができる2010年までは「データで他の職種の人たちをバックアップする」人たちがいなかったかというと、そうではありません。情報科ができるまでは、いろんな職種の人たちが集まって「データでバックアップする」部隊でお仕事をしていたんですが、「専門的にできるように、職種にしよう」ということで、情報科が誕生しました。

「情報」という言葉を聞くと、「インフォメーション」「レポート」「ニュース」的なイメージを持ってしまう方も多いと思いますが、「情報科」の英訳は「Intelligence」。ただ単に「データを集めて提供する」というよりも、「集めたデータを分析し、そこから得られた〝知〟を提供する」という感じです。

データを集め、分析することで他職種をバックアップ

例えば、東京都の東立川駐屯地には「地理情報隊」という情報科の部隊があります。この「地理情報隊」では、地図や航空写真、3次元地理情報を作って、陸・海・空自衛隊、そして国土地理院などにも提供しています。

同じく東京都の市ヶ谷駐屯地にある「基礎情報隊」では、世界中の情報収集を行っています。東ヨーロッパを担当する部署、アジアを担当する部署……などがあり、外国語に堪能な隊員が担当区域の情勢や動向などを集め、分析しています。もちろん、日本国内を担当する部署も。

>>>まだまだある!自衛隊のお仕事
では「機甲科」の「偵察部隊」をご紹介しましたが、この偵察部隊でもいろいろな情報を集めています。また、普通科部隊にも偵察を担当する部隊があり、こちらでも情報収集は行われています。

……などなどの情報が、「情報処理隊」という情報科の部隊で一括して分析され、そこから得られた〝知〟が他の職種のお仕事で活用される……と、なんとなく伝わりましたでしょうか。

情報科のお仕事はなかなか難しく、ピンと来にくいと思います。が、今後みなさんが出会う自衛官が情報科の隊員の可能性もあると思いますので、「自衛隊にはそういうお仕事もある」ということだけでもぜひ頭に入れておいてください!

自衛隊の「物」を取り扱う、需品科

では、続いて「需品科」。
需品科は、陸上自衛隊のありとあらゆる「物」を取り扱う部隊です。ただし、武器は例外。武器のみ「武器科」(>>>自衛隊のお仕事 ~陸上自衛隊「会計科」「武器科」編~)の担当です。

武器以外の自衛隊の「物」……自衛官が着ている制服や迷彩服、隊員が寝るベッド、仕事で使う机、イス……などなど、挙げるとキリがないほど、自衛隊にはいろんな「物」があります。
自衛隊の活動には、いろんな「物」が必要で、「物」がなければできないことだらけです。それらをすべて揃えたりメンテナンスしたり……というのが需品科部隊のお仕事です。

野外入浴セット、野外炊具、そしてこんな装備品も!

……と、「縁の下の力持ち」を絵に描いたような需品科部隊ですが、実は私たちも需品科部隊のお仕事を目にすることがあります。それは、災害派遣。

地震など、大きな災害は発生すると、自衛隊が救助や支援活動をします。そのとき、被災者のためにお風呂を作ったり、炊き出しをしたり……というのを、みなさんもニュースなどで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
この、お風呂やごはんを作るのも、需品科部隊のお仕事です。

自衛隊には、「野外入浴セット」、「野外炊具」といった、お風呂・ごはんのための装備品があります。正式には、「野外入浴セット2型」、「野外炊具2号(改)」、「炊事ユニットK-1」のように、とっても自衛隊らしい名前が付いています。お風呂やごはんだけでなく、洗濯をするための「野外洗濯セット2型」という装備品もあるんですよ。

お風呂・ごはんの装備品を見るなら松戸駐屯地!

私たちは、「野外入浴セット」や「野外炊具」を災害時でしかほぼ見ることはありませんが、これは災害派遣のために作られたものではありません。本来は、「野外での活動時に、隊員が使うため」のもの。隊員が使っている物を、災害時には被災者のために使っている……ということなんです。
そもそも、「災害派遣」そのものも同じです。
自衛隊は本来、国防のための組織。国防のために備えている、人や装備品の能力を、災害派遣で「活用している」という形なんです。

「野外入浴セット2型」、「野外炊具2号(改)」、「炊事ユニットK-1」は、駐屯地で行われているイベントで見ることができます。実際に触ってみたり、場合によっては野外炊具を使って炊き出しをしてくれたり、野外入浴セットのお風呂に入ったりできることも。

装備品を使ってどの程度の展示を行うかは部隊やその時々によりますが、個人的には千葉県・松戸駐屯地のイベントが狙い目かなーと思います。
というのも、松戸駐屯地には、需品科部隊の総本山ともいえる「需品学校」があるんです。

職種にはそれぞれ、そのための教育をする「学校」があります。通信科は「通信学校」、武器科は「武器学校」。松戸駐屯地には、需品科の教育をする「需品学校」があり、さらにはたくさんの「自衛隊の物」を取り扱う「関東補給処」という部隊もあるので、需品科に興味のある方は松戸駐屯地のイベントをぜひチェックしてみてください!

音楽演奏がお仕事な、音楽科部隊

さて、これまで陸上自衛隊の16職種のうち、15の職種をご紹介してきました。
いよいよ最後の職種……は、「音楽科」です。

音楽科の部隊「音楽隊」は、自衛隊に興味のある方ならよくご存じかと思います。毎年秋に日本武道館で行われている「自衛隊音楽まつり」をはじめ、全国各地のイベントで音楽隊の演奏を聴くことができます。

音楽隊のお仕事は、もちろん「演奏をすること」。国家行事や地域のイベント、自衛隊の式典などで音楽演奏をするのがその任務です。
音楽隊は、音大などの学生さんにとても人気の職だそうで、入隊するのはなかなか難しいんだとか。ハイレベルな隊員さんが集まっているんですね。

演奏と、もうひとつの任務……それは後方支援

演奏するのがお仕事の、音楽隊。……ですが、それだけではありません。有事の際は、音楽隊員たちは「後方支援をする」という任務を持ちます。
「ミュージシャン」というと繊細なイメージがあり、楽器を演奏する指も大事だろうし……と、後方支援任務とはかけ離れたような感覚を持っていたので、以前音楽隊員の方にその辺りをお伺いしたことがあります。「演奏と、後方支援任務の訓練、両立するの大変じゃないですか?」と。
すると、音楽隊員さんは「音楽隊とか吹奏楽部って意外と体育会系なんですよ。演奏のためのトレーニングもやりますから。私たちも自衛官なので、音楽だけでなく有事のための訓練は当然のことです」と頼もしいお答えをくださいました。

言われてみると、記念行事など野外の式典では、音楽隊員さんたちの行動って結構ハードなんですよね。「意外と体育会系」ではなく、「体育会系そのもの」なのかもしれません。

自衛隊イベントに行ったときは、演奏だけでなく「意外とハードな音楽隊の行動」にもぜひ注目してみてください!

画像引用:陸上自衛隊HP
岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら

pc_bridal


2017-04-13 | 女子にも分かる自衛隊

関連記事

ページトップへ