女子にも分かる自衛隊

実録!自衛官と結婚するとこんな嫌なことが!!~その2.日常生活編


住む場所はどこでも自由に……とはいきません

自衛官と結婚することの「デメリット」にあえて着目し、あらかじめ心構えを持っておこうという今回のシリーズ。前回は、大災害時における「自衛官を夫に持つ」ことのデメリットについてお話をしました。
さて今回は、大災害のような非常時ではなく、「日常生活」の面でのデメリットを見ていこうと思います。

これまでのコラムでも何度か書きましたが、自衛官と結婚するにあたって「最も大きな」といっても過言ではないネックとなるのが、「住む場所」です。
自衛官には、「指定場所に居住する義務」というのがあります。詳しくは、自衛隊法第55条で
「自衛官は、防衛省令で定めるところに従い、防衛大臣が指定する場所に居住しなければならない」
と定められています。

なぜ自衛官には「指定場所に居住する義務」があるのかというと、災害や有事など、いつ何があってもすぐに任務に就ける態勢を取らなければならないから。こちらは自衛隊法54条で
「隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない」
と定められています。

「家から職場まで歩いて行く」という訓練も!


では、自衛官と結婚生活を送るとき、どういうところに住まなければならないかというと、基本的には「勤務する駐屯地・基地の近く」です。この「近く」がどのくらいの近さなのかは、所属する部隊やその地域の特性によるので一概には言えないのですが、一般的なサラリーマンよりも縛りはキツめかな……と思います。

例えば、都心の会社に勤めるサラリーマンの場合、「茨城県や山梨県に広いお庭のある家を建てて、がんばって会社に通う」という方もいらっしゃいますよね。
でも、自衛官は基本的にそういうやり方はできません。なぜかというと、災害などが起こってしまっても「隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない」から。
少し余談になりますが、自衛隊では「夜中、家にいるときに大地震などが起きてしまい、道路や交通機関が使えなくなったと想定して、家から勤務する駐屯地・基地まで歩いて行く訓練」というものも定期的に行われています。
訓練なので、実際には災害も起こっておらず、道路や交通機関は普段通り動いているのですが、そうなってしまったという想定で家から勤務する駐屯地・基地まで歩いて向かいます。もちろん、勤務場所に着いたら「あー疲れた」と休めるわけではなく、お仕事をします。

子育て環境や子供の学校を考えて、勤務場所から遠い所に家を買ったものの(もちろん、許されている範囲内の場所に)、ご主人のこの「徒歩で通勤する訓練」を目の当たりにすると、「なんか申し訳なくなった」「心からありがとうと思った」という奥様方の声をよく耳にします。

どこまでも歩く自衛官!


そしてさらに余談になりますが、自衛官はこういった「徒歩で通勤する訓練」や、「演習場で数十キロを歩く訓練」を繰り返しているので、一般的な人に比べると「長距離を歩く」ことへの抵抗感が少ないです。
例えば、飲み会で夜遅くなって終電を逃してしまった場合、普通の人だと「タクシーで帰る」や「朝までどこか(カラオケやネットカフェなど)にいる」という選択をすることが多いと思いますが、自衛官は家までの距離が30キロくらいなら「歩いて帰る」をナチュラルに選ぶ人がよくいます。
とっても経済的なのですが、普通の人はあまり真似をしない方が良いと思います。「家まで○キロだから、○時間くらいだな。じゃあ○時間ごとに小休止、そしてこのあたりで長めの休憩を取ろう」といったことを、お酒が入った頭でもささっと考えなければならないので、普段から「長距離を歩く」ことに慣れていないとケガや事故につながってしまいますから。
そして、自衛官は普段から「歩ける靴」を履いている人が多いというのも、「終電がなくなったときに歩いて帰りがち」な要因かなと思います。

自由にできないのは「住む場所」だけでなく、お出かけ先も


さて、話は戻って「指定場所に居住する義務」。
この義務のため、自衛官と結婚すると住む場所が限られてきます。お仕事によっては転勤も多いので、引っ越しを何度もすることがありますし、単身赴任を選ぶご家庭も多いです。

また、役職やお仕事内容によっては、この縛りが「住む場所」だけでなく「旅行」や「お出かけ」にも及ぶことがあります。例えば、ある規模の部隊の部隊長になると、「この範囲の中に住まなければならない」だけでなく、「この範囲から出てはいけない」という制限もついてきます。これもやはり、「なにかが起こったときにすぐに対応できるようにするため」。
ですので、単身赴任でご主人が遠くの場所に行っていたりした場合、さらに「この範囲から出てはいけない」に該当していると、お子さんの入学式や運動会もパパが不在のまま……ということになってしまいます。
単身赴任ではなく、一緒に住んでいても、「今度の休みに家族で○○に行きたい」と思っても、○○の場所によっては「パパはお留守番」もしくは「行き先を変更しよう」ということになります。

海外の挙式や新婚旅行にも申請が?!

そして、これは自衛官全員が該当するのですが、海外に行く場合はあらかじめ申請をしなければならず、行き先や時期によっては承認が得られない場合もあります。
挙式や新婚旅行も例外ではありませんので、もし「彼と一緒に海外」を考えているのなら、早めに彼に相談した方が良いと思います。

……と、今回はデメリットを列挙しただけになってしまいましたので、ちょっと気持ちが暗くなった方もいらっしゃるかもしれません。
次回もまだ少し「自衛官と結婚するデメリット」のお話が続くのですが、「そんな中で幸せに暮らすためのヒント」もお話したいと思います。

岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら

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2018-05-05 | 女子にも分かる自衛隊

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