「自衛隊ベストボディ2017」から見た自衛隊トリビア
初の「自衛隊ベストボディ2017」開催!
「なにか」が起こったときの自衛隊の活動シリーズの途中ですが、今回は別のお話です。
7月29日に「自衛隊ベストボディ2017」が開催され、観戦に行ってきました。
「自衛隊ベストボディ2017」は、自衛官として勤務する男性の中から身体の健康美ナンバーワンを決めるコンテスト。今回は、「自衛隊ベストボディ2017」から見た自衛隊トリビアをお届けします!
規定ポーズには「敬礼」も!
今大会には、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊から59人の自衛官が出場しました。
まず、陸・海・空の部門別に審査があり、それぞれの優勝者を決めます。そして、優勝者3名の中から総合グランプリを決定、という流れです。
スタートは陸上自衛隊から。
このように、観客の前に出場者が並び、鍛え上げた身体を見せてくれます。
(写真が下手なのは目をつぶってください。すみません)
そして、出場者は規定のポーズを取ります。
まず、「フロントポーズ」。
そして「サイドポーズ」。
次は「バックポーズ」。
逆向きの「サイドポーズ」。
そして最後は……「敬礼ポーズ」!
通常の「ベストボディジャパン」の大会では、フロントポーズ、サイトポーズ、バックポーズのみなんだそうです。しかし今回は自衛隊大会ということで「敬礼ポーズ」も審査に含まれました。
「挙手の敬礼」と「10度の敬礼」。
ここで自衛隊トリビア。
「敬礼」というと、上の写真のように手をおでこのあたりに持って行くこの姿勢が一般的に知られているかと思います。でも、実はそれだけじゃないんです。
上の写真の敬礼は「挙手の敬礼」という名前です。手を挙げるから「挙手」の敬礼。実はこの「挙手の敬礼」は、帽子をかぶっているときのみの敬礼です。帽子をかぶっていないときは「挙手の敬礼」をしてはいけません。
では、帽子をかぶっていないときはどうするのかというと、「10度の敬礼」という名前の敬礼をします。
ペコっとお辞儀をしたような姿勢で、上半身を10度前に倒すので「10度の敬礼」。
テレビなどに登場する自衛官はほとんど帽子をかぶっているので、「挙手の敬礼」しか知られていないのですが、実は帽子をかぶっていないときの「10度の敬礼」というものが存在します。
ですので正確には、帽子をかぶっていないときに「挙手の敬礼」をするのは間違いです。
が、今回は「ポーズ」として、帽子をかぶっていないのですが「挙手の敬礼」が行われました。
挙手は右手で。角度は陸・空と海で違いがあります。
と、ここでもうひとつ敬礼トリビア。
「挙手の敬礼」では、必ず右手を挙げます。左手を挙げてはいけません。
顔文字には、敬礼をしている
(`・ω・´)ゞ
のようなものがありますが、これは左手を挙げているので厳密に言うと間違いです。
(と言いながら、かわいいので私もよく使っているんですが)
そして、右手を挙げる角度にも決まりがあります。上腕部(ひじから肩の部分)を地面と水平にしなければならないんです。
しかし、これは陸上自衛隊、航空自衛隊のみ。海上自衛隊では、下腕部(ひじから手首の部分)が体の中心線と45度になるように傾けます。海上自衛隊の方がコンパクトな感じです。
なぜ海上自衛隊の挙手の敬礼がコンパクトなのかというと、「艦艇の中が狭いから」。狭い通路を歩いていて敬礼をするとき、陸上自衛隊・航空自衛隊のように右腕を張るとぶつかってしまうんです。ので、下腕部を45度に倒し、敬礼をします。
余談ですが、艦艇勤務の海上自衛官さんのお話では「とても狭い通路では45度でもぶつかる。だから、右手をまっすぐ挙げてすれ違うことも多い」のだそう。
みなさんも、自衛隊のイベントにお出かけしたときは敬礼のポーズで記念写真を撮ることがあると思います。
そのときは左手ではなく右手を挙げて、さらに陸・海・空ごとに右手の角度を合わせるとよりホンモノっぽいかっこいい写真が撮れますよ!
いよいよ初代グランプリが決定!
話は戻って、「自衛隊ベストボディ2017」。
陸・海・空それぞれの審査が終わり、各上位5名が選ばれました。
陸上自衛隊のファイナリスト5名。
海上自衛隊のファイナリスト5名。
航空自衛隊のファイナリスト5名。
陸・空と海とで右腕の角度が違うの、お分かり頂けますでしょうか?
この5名ずつで最終審査を行い、陸・海・空の各優勝者が決定します。
審査員のみなさんも真剣です。
そして、優勝者決定!
右から、陸上自衛隊の森光慶さん、海上自衛隊の椎名迅さん、航空自衛隊の村上祐樹さん。
こちらの3人で総合グランプリを決めるための審査が始まりました。
こうして並ぶと右腕の角度が分かりやすいですね。両側の陸・空のお二人に比べると、真ん中の海の方の敬礼は少しコンパクトです。
審査が終わり、いよいよ結果発表!
記念すべき第1回目の総合グランプリは……
陸上自衛隊の森光慶さんでした!
おめでとうございます!
ファイナリストたちに共通する、ある特徴。
ボディビルのような「筋肉!」ではなく、「健康美」がテーマの「ベストボディ」。審査基準はウオーキングや見せ方、知性品格などの5項目とのことなのですが、私は正直「みんなすごいな~。誰が一番とか選べないな~」でした。
でも、「陸・海・空関係なく、ファイナリストには共通したものがあるな」と気付きました。それは「基本教練がしっかりしている」こと。
「基本教練」とは、「敬礼」はもちろん、「気を付け」、「右向け右」、「回れ右」などの、自衛官としての基本動作の訓練。自衛官はみんな、入隊するとまずこの基本教練を叩きこまれます。ので、自衛官は勤務中じゃなくてもこの基本教練に則った動きが自然に出てしまいます。職業病のようなものでしょうか。
ですが、この大会のように緊張する場面では、体が普段のように動かせなかったりしてしまいます。みなさんも、緊張する場面では右手と右足を一緒に出してしまってロボットみたいな歩き方になっちゃうことってあったりしますよね。
ファイナリストのみなさんは、基本教練が本当にしっかりしていました。
「敬礼のポーズ」はもちろん、そのときの足の角度(「敬礼」や「気を付け」では、足はかかとをくっつけてつま先を60度の角度で開きます)、そして移動するときの「回れ右」や「右向け右」。審査員に頭を下げるときも、しっかりと「10度の敬礼」。
もちろん、これらは審査の対象ではないのですが、ファイナリストのみなさん、そして優勝したみなさんは全員、この基本教練がしっかりとできていました。
おそらく、「普段やっている基本教練がそのまま出るほど自然体だった」「普段の動作が自然に出るほど緊張しすぎず、適度にリラックスできていた」ということなのかな、と思います。
だからこそ、ファイナリストや優勝という栄冠を手にできたのでは……と。
今回は、「自衛隊ベストボディ2017」を自衛隊トリビアの視点からお伝えしました。
大会の詳しくは、こちら
をぜひご覧ください。
来年には第2回が予定されているそうです。来年はぜひみなさんも足を運んで、肉体、さらに「自衛官」としての美しさを堪能してください!