女子にも分かる自衛隊

ミサイルが飛んで来たら……どう身を守る?迎撃は?


8月29日、早朝のJアラート


今回は、「なにか」が起こったときの自衛隊の活動シリーズのつづきを……と思っていたんですが、時事な話題を。

8月29日、北朝鮮がミサイル発射を行いました。
早朝にJアラートの警報が鳴り、驚いた方も多いと思います。

このJアラートの音に関して「うるさい」というご意見がありました。また、「Jアラートが鳴ってからではなにもできない」という声も聞かれました。

これまでにないこと、突然のことに驚き、動揺してしまうのは当然です。
そして「ミサイル」という未経験の脅威に戸惑ってしまうのも、自然なことだと思います。

でも、若い女性のみなさんにも「自分の身を守ること」、そして将来家族を持ったら「子供の身を守ること」を知っておいて欲しいと思ったので、今回はこのお話をします。

Jアラートは、「ムダ」なもの?

8月29日の早朝に鳴ったJアラート。報道によると、最初に発射情報が発表されたのは6:02で、日本の上空をミサイルが通過したのが6:06とのことでした。
6:02の発射情報から、6:06ミサイル通過までの時間は4分間。このことから、「たった4分でなにができるの?!」「Jアラートって意味あるの?」とJアラートの有効性に疑問を持った方もいらっしゃるようです。

しかしみなさん、ぜひ緊急地震速報を思い出してみてください。
地域に差はあると思いますが、東京都に住んでいる私の場合、緊急地震速報は珍しいものではありません。今回のように早朝だったり、寝ている深夜だったり、通勤中の電車の中だったり……いろんなところで、テレビだけでなく、スマホでも緊急地震速報を受信しますよね。

緊急地震速報と同じように、Jアラートでも落ち着いた行動を

私は家で仕事をすることが多いのですが、家で緊急地震速報を受信し、表示の震度が大きい場合はすぐに寝室に駆け込みます。地震に備え、寝室には棚など倒れる物はなにも置かないようにしているので、すぐに寝室に駆け込みます。
みなさんも、「地震のときはこうしよう」と自分で決めていたり、家族と話し合っていたり、職場での指導もあるかと思います。

ミサイル発射のJアラートも同じです。
ミサイルの場合は、
・できる限り頑丈な建物や地下に避難する
・建物や地下がない場合は、地面に伏せて頭部を守る
・屋内にいる場合は、窓から離れる、または窓のない部屋に行く
といった行動をしましょうとアナウンスされています。地震のときと同じように、落ち着いて避難しましょう。

命を守る、身を守るということ

「ミサイルが空から落ちてくる」……これは、若いみなさんには経験のないとても怖いことだと思います。経験がないので「ミサイルなんかが落ちてきたら、どこに避難しても死んでしまう」「避難しても意味がない」と思ってしまう人も少なくないようです。

とても悲しいことですが、ミサイルによって命を落とす場合もあるかもしれません。でも、よく考えてください。「命を落とす」だけでなく、「命は助かったものの、大きなケガをする」という可能性もあるんです。

Jアラートを受信したときに「避難してもどうせ死んでしまうから」と窓のそばにいると、ミサイルの爆風で窓が割れ、ガラスの破片が体に刺さる可能性もあります。
幸い命は助かったものの、顔や体に一生直らない大きな傷ができてしまうかもしれません。日ごろからお手入れをして美肌を目指しているのに、顔に大きな傷ができたらとっても悲しいですよね。せっかく命が助かったのに、避難していればできなかった傷ができてしまった……なんてとっても悲しいですよね。

自分の身を守る練習をして、将来は子供の身も守りましょう

地震などの自然災害、そしてミサイル被害でも、命を守ることは最優先です。そして命が助かれば、その後の人生は少しでも幸せなものにしたいと誰でも思うものです。
ぜひみなさん、「ミサイルが落ちてきたら死んじゃう。怖い」と恐怖のままでいるのではなく、地震でもミサイルでも、命を守ること、そして身を守ることを考え、行動してください。

また若い女性のみなさんは、将来子供を持つこともあると思います。脅すようなことを言って申し訳ありませんが、大人ならケガで済むガラスの破片も、赤ちゃんだと命に関わることになってしまうかもしれません。

ぜひ、若い今のうちから「自分の身を守る」ことを考え、行動し、そしてお母さんになったらその経験を「子供の身を守る」ことにも活かしてください。

ミサイルから日本を守る体制

緊急地震速報の場合、スマホなどで受信してから数秒で揺れ始めることが多いかと思います。場合によっては、揺れ始めてから受信した……なんてこともありますよね。
今回のJアラートも、受信してからミサイルが日本上空を通過するまで数分しかありませんでした。

もっと早く情報が分かれば……私も心からそう思うのですが、技術的な限界はやはりあります。情報を出す側の方々も、少しでも早く……といろいろなシステムを考え、整備されているのですが、やはり今の技術では「ここまでしかできない」という限界があります。

またミサイルの場合には、日本にミサイルが落下しないよう、「迎撃ミサイル」というもので被害を防いだり、被害を最小限に抑える……という対策も取っています。「PAC-3(パックスリー)」や「イージス」といった迎撃のための装備の名前は、テレビなどでも聞いたことがある人も多いかと思います。

迎撃体制にある、技術と法律、二つの限界

しかし、迎撃の体制にも限界があります。限界の種類には大きく二つ
・技術的な限界
・法律の限界
があります。

「PAC-3(パックスリー)」や「イージス」は、ミサイルが飛んできたときに、そのミサイルに迎撃ミサイルを当て、破壊するというものです。
でもこれ、とっても難しいんです。

例えば、地面に置いてあるボール。このボールに別のボールを投げて当てようとすると、難しいですよね。的のボールが地面に置いてあるボールでも難しいのに、的のボールが空中を飛んでいたら……もっと難しいですよね。

迎撃とは、簡単にいうとこんな感じです。とっても難しいことなので、レーダーを使ったり、投げるボールに「的となるボールを追いかけられるような性能」を付けたりしていますが、やはりこの技術にも限界はあります。
自衛隊の迎撃能力は世界でも高いと言われていて、「PAC-3(パックスリー)」や「イージス」を担当する隊員は訓練を重ね、そしてできるだけ最新の技術を使えるように予算などの面でも手が打たれていますが、「現代の最高水準の技術」自体にも限界はあります。
これが、「技術的な限界」です。

迎撃するための法律は「破壊措置命令」

もうひとつ、法律の限界。
先ほど、「地面に置いてあるボールよりも、飛んでいるボールに当てる方が難しい」というお話をしましたが、より確実に「ミサイルが日本に撃たれるのを防ごう」と思えば、飛んでいるミサイルではなく、地面に置いてあるミサイル(ミサイルの発射基地)を破壊するという方法もあります。
しかしこれは、現在の日本では「やってはいけないこと」とされています。

そして、「PAC-3(パックスリー)」や「イージス」での迎撃は、「破壊措置命令」というもので行われます。破壊措置命令は、「自衛隊法」という法律の「第八十二条の三」で定められているのですが(ネットでも見ることができますので、興味のある方は検索してみてください)、そこには
「迎撃するのは、我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要がある認めるとき」
ということが書かれています。

ですので、これに該当しないときは迎撃できません。
また、「武力攻撃事態」「存立危機事態」でも迎撃が可能となりますが、この二つの事態がどんなものかは
>>「なにか」が起こったときの自衛隊の活動~【その2】防衛出動
でお話しましたのでこちらをご覧ください。

万が一に備えて、考えて行動しましょう

今回は、「ミサイルが飛んでくる」という場合の「身を守ること」「迎撃体制の現状」についてお勉強しました。

私個人的には、「ドラえもんの『ひらりマント』が早くできないかな~。ひらりマントがあれば、今の法律を守りながら、カンペキに私たちの命を守れるのにな~。技術がもっと進んで、ひらりマントが開発されればいいな~」と思っています。
……というと、ふざけているように感じられるかもしれませんが結構本気です。技術面でも、法律面でも、そのくらい難しいことですから。

「身を守る」ことも、「装備品や法律がどうあるべきか」も、とっても難しいことです。
そして、地震もミサイルも、もう二度と起こって欲しくないことですが、「万が一また起きてしまったら……」をぜひ少し考えてみてください。
自分たちでできることから考えて、落ち着いて行動して、みんなで幸せに暮らしましょう!

画像引用:陸上自衛隊HP海上自衛隊HP航空自衛隊HP
岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら

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2017-09-01 | 女子にも分かる自衛隊

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