女子にも分かる自衛隊

「自衛官の彼氏ができたなう」はOK? NG?


SNS使用に制限のある自衛官

インスタグラムやツイッター、フェイスブックなど、世の中にはさまざまなSNSツールがあります。そのうちのどれか、また複数を普段から使っているという方も多いのではないでしょうか。
SNSを見ていると、「彼氏ができました」という報告がよくありますよね。みなさんも、自衛官とお付き合いするようになったら「自衛官の彼氏ができました」と言いたくなることがあるかもしれません。
しかし! 「自衛官の彼氏」「自衛官の夫」のことを書くときは、注意が必要です。というのも、自衛官はSNSの使用を制限されているんです。そしてその「制限」は彼女さんや奥さんなど、周囲の方にも及ぶ場合があります。
今回は、「SNSなどで自衛官の彼や夫について書くこと」についてお勉強しましょう。

必要なのは、部隊長の許可。本人以外の投稿にも影響が

自衛官は、基本的に「SNSに投稿するときは、部隊長(等)の許可を得なければならない」とされています。これはSNSだけでなく、テレビや雑誌などに出るときも同じです。媒体の大小に関わらず、「なにかを公に発表、発信するときは部隊長(等)の許可を得なければならない」のです。
ですので、自衛官がSNSにプロフィール写真を載せて、「○○連隊に勤務しています」と自己紹介するときも、部隊長の許可が必要です。
そしてこれは、自衛官本人じゃなくて彼女さんでも同じ。もしあなたが許可なく、ツイッターに
「自衛官の彼氏ができました。○○連隊に勤務している、とても素敵な人です」
と写真をアップすると、彼氏さんが上司に怒られる可能性があります。

制限がある理由は、部隊の行動が知られてしまうから

では、「○○連隊に勤務」と書かなければOKかというと、そうではありません。「凛々しい彼の制服姿を友達にも見て欲しい!」という気持ちはあるかと思いますが、インスタに「彼氏ができました」と彼の制服姿の写真をアップするのも、基本的には許可が必要です。制服には部隊章や階級章、名札などたくさんの「情報」がついています。見る人が見れば、彼の素性はすぐに分かってしまいます。
なぜこんなに厳しいのかというと、理由のひとつに「部隊の行動が知られてしまうから」があります。ミリタリーの世界では、「部隊がどんな行動をするのか」は絶対に知られてはいけないことです。ヨコシマな考えを持った人たちに部隊の行動が知られてしまうと、国を守ることが難しくなるからです。

ささいなツイートから分かってしまう、部隊の行動

たった一枚の、彼の制服写真。仮に、その写真以外では彼が自衛官であることを書いていなくても、部隊の行動は分かってしまう可能性があります。
例えば、彼がある護衛艦に勤務している場合。制服に付いている名札から、彼がどの護衛艦に勤務しているのかが分かります。そして、もしあなたが「彼が長期のお仕事で2カ月会えない」とツイートすると、「そろそろ2カ月の航海なのかな」と部隊の行動がバレてしまいます。
彼の乗っている艦が分からないよう写真などに気を付けていても、普段アップしている写真の風景から「横須賀に勤務しているんだな。○月〇日や○月〇日にデートしている写真をアップしていて、○月〇日から○月〇日には写真が一切ないということはあの護衛艦なのかな」といったことが分かってしまうんです。
かくれんぼをしているときに、隠れている人がGPSを付けていて鬼がそれを見られる状態だったら、すぐに捕まってしまいますよね。SNSに自衛官の彼のことを書くのは、それと同様のことなんだと理解してください。

一般企業と同じく、アップは許可を取ってから!

……と、少し難しい言い方をしましたが、単純に自分のことに置き換えてみてください。
自衛隊ではなく、一般企業に勤務していても、「○○会社に勤務しています」とプロフィールに書いて、「今度うちでこんな新商品を出すらしい」と企業秘密をツイートするのはNGですよね。会社の公式アカウントだったら別ですが、公にしてはいけない情報をSNSに書いたらどの企業でも怒られますよね。
彼やお友達に、あなたのことを「○○会社の○○のお店で働いている〇〇さんです。○○に住んでいます」って写真を勝手にアップされたら嫌ですよね。
もちろん、あなたや会社の許可があれば問題ないと思います。自衛隊もそれと同じで、「許可なく載せてはいけない」ということだけ覚えておけば大丈夫です。

「自衛官である」ことをあまり知られたくない人も

また、「部隊長の許可」の有無だけでなく、ただ単に「自分が自衛官だと知られることが嫌だ」という方もいらっしゃいます。
今は以前より少なくなったように思いますが、世間には自衛隊に対して好意的ではない人もいるので、過去に嫌な思いをされた方の中には、「お仕事は?」と聞かれても「自衛官です」とは言わず「公務員です」としか言わないという方もちょくちょく耳にします。
いずれにしても、自衛官の彼のことをSNSなどで書くときは、必ず彼の許可をもらってからにしましょう。
……と、彼や夫のことを理解して、注意を払ってSNSを使っているのに、自衛隊の公式アカウントに「○○部隊の○○3曹」と堂々と写真が載っているのを見て、「私はこんなに我慢しているのに自衛隊が載せてる!」と憤慨する彼女さんや奥さんもいらっしゃいますが……(笑) 公式アカウントは許可済みですからね。どうか耐えてください。

彼のために、グッと我慢しましょう!

災害派遣や離島の防衛、ミサイル対処など、自衛隊はニュースでも度々話題になります。また、お仕事の特殊性から彼女さんや奥さんは愚痴を言いたくなることも多々あるかと思います。彼や夫がニュースに出てくるお仕事の当事者だったり、長期勤務の愚痴が溜まってたりすると、どうしてもSNSに書きたくなってしまう気持ちは分かるのですが……でも、あなたの投稿が日本の平和の妨げになってしまうことになったらとても悲しいですよね。
周りの友達が彼や夫のことを書いていると「なんで私は……」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、彼のお仕事のため、日本の平和のためとグッと我慢をしてください。
もちろん、許可を得たものは書いても問題ありませんので、まずは彼やご主人に聞いてみてください!

岡田真理のほじくりコラム(毎週金曜更新) >> こちら

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2018-03-03 | 女子にも分かる自衛隊

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