街で自衛官を見分ける方法
自衛官Aさんのリュックの中身
以前、自衛官Aさんを含めた友人数名で飲み会をしたときのエピソードです。
Aさんは大きなリュックを背負って来ていて、席に着くと床に置きました。この日の話題の中心は、Aさんの結婚。お付き合いをしている彼女さんとの結婚が決まり、この日は彼女さんのご実家で「娘さんをください」のご挨拶を終えて、飲み会に合流していました。「おめでとう」、「ご挨拶は緊張した?」などと話もはずみ、同時にお酒も進み、私がトイレに行こうとしたときのこと。
席を立つとき、Aさんが床に置いたリュックが邪魔だったので「これ、こっちに置くね」とリュックを持ち上げようとしたら……持ち上がらない!
「重っ! なにこれ? なにが入ってるの!?」
「鉄アレイが2つ、いや3つかな?」
「なんでそんなの入れてるの!?」
「日ごろからトレーニングを……」
「だとしても! 今日みたいな日は置いて来てもいいじゃん! 背中に鉄アレイしょって『娘さんをください』っておかしいでしょ!!」
「いや、ご挨拶のときはリュックは置いてて……」
「分かってるよ!!」
やたらと大きな重いリュックを背負っている自衛官
トレーニングのため、日ごろから大きな重いリュックを背負っているAさん。しかし、これはAさんだけではなく、「自衛官あるある」です。自衛官はオフの日でも、なんだか大きな重いリュックを背負っています。「娘さんをください」の日にまで大きな重いリュックを背負っているのは少数派だと思いますが……というか、そう信じたいですが。
これは、陸・海・空のうち、陸上自衛官に特に多いように思います。陸上自衛隊で行われる「演習」では、大きな荷物を背負って長距離を歩くことがよくあります。背中のリュックの中身は、主に演習中の個人の生活用品(着替えや食料など)なのですが、さらに任務に必要な物(小銃や機関銃、無反動砲、対戦車地雷など)も仲間で分担して持ち歩きます。
これは体力を非常に消耗するので、自衛官(特に陸上自衛官)は日ごろから大きな重いリュックを背負ってトレーニングをしている、というわけです。また、個人的には「お仕事で大きな重い荷物に慣れているから、オフで持ち歩くリュックがどんなに重くても、荷物を減らす努力をしないのかもしれないなー」とも思っています。
重くて大きな荷物に慣れている自衛官。赤ちゃんが産まれてから数年は、お出かけするときにたくさんの物を持ち歩かなければならなくなりますが、こんなパパだったら赤ちゃんの荷物も全部持ってくれそうですよね。いや、ひょっとしたら、パパ個人の荷物がありすぎて「これ以上リュックに入らない」なんて言われてしまう可能性もあるのかもしれませんが……。
もちろん、「重くて大きなリュックを背負っている」も人に寄るので、オフの日はサイフとスマホだけをポケットに入れて、手ぶらでお出かけをする自衛官もいます。
髪形、おじぎの仕方……自衛官あるある
……と、前置きが長くなりましたが、今回は「いつも重くて大きなリュックを背負っている」のような、「自衛官あるある」をご紹介します。ぜひ、街で自衛官を見分けるためのご参考にしてください。
●髪形
自衛官のルックスで特徴的なのが、髪形。自衛官は短髪にしなければならず、部隊によってはもみあげの長さなども厳しく指導されることがあるそうです。個人的には、陸上自衛官が一番短く、航空自衛官は短髪でもやや長めな人が多いように思います。頭頂部だけ長めで、他はすべて刈り上げている人が街を歩いていたら、高確率で自衛官です。
(とはいえ、警察官の機動隊の方も同じような髪形の人をよく見かけます)
●おじぎの仕方
自衛官は、腰から鋭く折ってやや浅めのおじぎをしがちです。これは「10度の敬礼」という、帽子をかぶっていないときの敬礼がこの姿勢だから。
(帽子をかぶっているときは、右手をおでこのあたりに掲げる、「挙手の敬礼」をします)
私たちがおじきをするときは、頭だけを下げて背中はまるくなるのが普通ですが、自衛官は「10度の敬礼」が叩きこまれているため、背中をまっすぐ伸ばしたまま、腰から折っておじぎをすることが多いです。
●信号などで立ち止まったら、次に歩き出すのは左足から
部隊行進では、足が揃うようにこう決められています。ですので、オフの日でも左足から出すのが癖になっていたりします。
(そして歩き始めたらスピードが速い)
野外での活動が多いゆえに、こんな特徴も!
●風の強い日でもタバコに火を付けるのに手こずらない
野外での活動に慣れているので、どんなに風が強くでも火を付けるのが上手です。
●眉毛がやたらと細い(若い隊員限定)
髪形でおしゃれができないからでしょうか。若い隊員さんは細眉の人が多いです。
●若いのにシワが深い
屋内勤務が中心の人はそうでもないのですが、屋外の活動が多い人は紫外線で深いシワが刻まれています。こういう人を見る度、「紫外線ってこんなにシワになるんだな~怖い怖い、UV対策がんばろう」と自分を戒めます。
●食べるのが早い
任務で時間のない中手早く食事をするため、そして任務ではないときも食堂が混雑するため、自衛官は早食いです。一緒におしゃれなレストランに行ったとき、あまりに早食いで悲しくなることがあるかもしれません。
こんな癖の人は……ひょっとしたら自衛官かも?
●普通の人なら「うん」、「オッケー」、「わかったよ」と言う場面ですかさず「了解!」「了!」と言う
●今いる場所を「現在地」と言う
●自衛官以外の人のことを「民間人」と言う
●普通に目が合っただけなのに、睨まれてるように感じるくらい目付きが鋭い
●見た目はいかついのに、アンバランスなほど口調は紳士
●カラオケで、部屋を出るときにメニューやリモコンなどテーブルの上を整頓する
……このうちあてはまるのが多いほど、自衛官である確率が高いと思います。
いろいろ書きましたが、もちろん「人それぞれ」です。「自衛官」といっても20万人以上いますから、上記にはまったく当てはまらない人もたくさんいると思います。
でも、駐屯地や基地のある街で、もしこんな人を見かけたら……ひょっとしたらひょっとするかもしれませんよ!
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