女子にも分かる自衛隊

今さら聞けない素朴なギモン~自衛隊って普段はなにをしているの?【2】


自衛隊が普段なにをしているのか……ズバリ「訓練」です!

「自衛隊は災害時ではないときはなにをしているのか?」
……ということで、自衛隊が普段している活動、
①国防の活動
②国防や災害時の活動ための訓練
③活動や訓練のための業務
のうち、前回は「①国防の活動」お話でした。では今回は、「②国防や災害時の活動ための訓練」をお勉強していきたいと思います。

自衛隊が普段している活動として上記①②③を上げましたが、実は私個人的には
「自衛隊って普段はなにをしているの?」
という質問には、
「訓練だよ」
と答えることがいちばん多いです。

すると、たいがい「訓練? いつも? そんなに訓練してるの?」と聞かれるんですが……でも、そうなんです。自衛隊はいつもいつも訓練してるんです。

試合に備えて日々練習をするスポーツ選手


白状すると、私も以前は「自衛隊って毎日なにやってんだろ?」と思う女子のひとりでした。少しずつ自衛隊に関わり始めた当初もその疑問は解消されず、自衛官さんご本人に「毎日なにやってるんですか?」と聞いたんですが、やはり「訓練だよ」と返ってきました。
そして、
「訓練? そんなに訓練することあるの……?」
とナゾは深まるばかりでした。
でも、そうなんです。自衛隊はいつもいつも訓練してるんです。そんなに訓練することがあるんです。

例えば、野球選手。
試合のない日、野球選手は何をしてるのかといえば「練習」ですよね。もちろんオフの日もあるでしょうが、基本的には毎日野球の練習をしています。
ピッチャーなら投球練習をしたり、走り込みをする日があったり、投球練習でもキャッチャーが立ったままだったり座った状態で投げ込んだりと、コンディションや時期によって練習の内容はさまざまです。もちろん、ピッチャーだって守備の練習もしますし、打撃の練習もします。
野手でも、ノックを受けたり、バッティングの練習をしたり、バッティングでもトスバッティングやフリーバッティング……とさまざまですよね。
サッカー選手も、バレーボール選手も、どのスポーツ選手も同じです。
試合がない日も、「試合で良いプレーをするために」さまざまな練習を日々積み重ねています。

自衛官も、有事に備えて日々「訓練」をしています

自衛官も同じなんです。
野球選手やサッカー選手と違うのは、「試合がいつ行われるか分からない」ということでしょうか。でも、いつ起こるか分からない、それもできれば起こって欲しくない、万が一の有事や災害に備えて、いつそんなことが起こっても確実に「日本を守る」「国民を守る」活動ができるように、訓練を日々続けているんです。
スポーツ選手でも、ちょっと練習をしない期間があったら勘を取り戻すのに時間がかかったりしますが、自衛官もそんな感じだと考えてください。「有事」のときだけに活動するのではなく、「有事の際に確実に任務を行うため」に、「平時のときだからこそ」、自衛官はいつもいつも訓練をしています。

では、いつもいつもどんな訓練をしているんでしょうか。

「試合」が不明確な自衛隊。そのために「目標」を設定

スポーツ選手のモチベーションは、「試合で結果を出す」ことだと思います。試合で成果が見えるからこそ「がんばろう」と思えますし、試合でミスをしたり思うような結果が出なければ「練習のやり方に変えてみよう」と改善することもできます。
しかし、自衛隊の活動、特に「有事」のための訓練では、そのモチベーションを維持するのはなかなか難しいものです。有事での活動を実際に行わなければ結果は見えませんし、そもそも有事は起こって欲しくないことです。

試合がいつ行われるか分からず、練習ばかりしている野球部やサッカー部……もしそんな部活があったら、練習に身が入らないでしょうし、入部する人もいなくなっちゃいそうですよね。
そこで、自衛隊は「目標」を作ることで隊員のモチベーションを上げ、レベルアップを図る……という訓練を繰り返しています。

目標のためのシステム、「検定」


モチベーションを上げ、レベルアップを図るために、自衛隊には「検定」というシステムがあります。例えば、「射撃検定」や「体力検定」。

射撃検定には、成績によって「1級」「2級」というように格付けがあります。最高ランクは「特級」。みんな少しでもいい成績が取れるように、少しでも上の級になれるように、射撃の練習をします。
「射撃の練習」というと、実際にパーンパーンと撃つことを想像する方も多いと思いますが、実際にパーンパーンと撃つのは限られたときだけで(弾を買うにもお金がかかりますし、予算もそれほど多くはないので)、「弾は撃たない」練習もあります。
的をどんなふうに狙うのか、撃つときにどんな姿勢を取るとちゃんと当たるのか、そして安全に射撃をするための手順……こういった「弾は撃たない練習」のことを「射撃予習」といいます。
自衛官は、「検定」を目標としてこの射撃予習を繰り返し、そして実際に弾を撃ち……と、「射撃」の訓練だけでけっこういろんなことをやってるんです。

……と、これは主に「小銃」や「拳銃」と呼ばれる、個人が持ち歩く武器の射撃の一例ですが、そのほかにも大砲や戦車砲など、いろんな「射撃」があり、それぞれにいろんな訓練をしています。

射撃だけでなく、自衛官の基本「体力」にも検定が

「体力検定」も同様です。体力検定も射撃検定のように定期的に行われていて、やはり「1級」「2級」といった格付けがあります。
体力検定の種目もいくつかあり、みんな各種目で少しでも高い成績が取れるように日々トレーニングをしています。
自衛官というと「たくましい」「体力がすごい」といったイメージを持っている方も多いと思いますが、いつどんな任務をすることになっても対応できるように、こんな「体力の訓練」も欠かさずに行われています。「体力の訓練」は「体力練成」と呼ばれています。

もうひとつの「目標」システム、「競技会」


モチベーションを上げ、レベルアップを図るために、自衛隊には「競技会」というシステムもあります。「競技会」は、ざっくり言うと「自衛隊の中で行われている大会」のような感じです。

例えば、「武装走競技会」。「武装走」とは、銃などの装備(とっても重いです)を身に着けて走る……というモノ。このタイムを競い合って順位を決めるというのが「武装走競技会」です。
個人戦、団体(部隊)戦とあり、武装走競技会の日が近づくと地獄のような訓練が繰り返されます。これも一種の「体力練成」といえるかもしれません。

このほかにも、銃剣道の試合を行う「銃剣道競技会」、災害派遣などでも目にする野外での調理のワザを競う「炊事競技会」なんてものもあります。
そして、射撃は「検定」だけでなく、「射撃競技会」としても行われています。

検定、競技会での好成績はとても名誉なことなんです

「検定」、「競技会」という、訓練のモチベーションを上げ、レベルアップを図るためのシステム。
少し聞いただけだと、自衛隊の中だけで人知れず静かに行っているような印象を受けるかもしれませんが、どちらもなかなかの大イベントで、どの部隊もかなりの力を入れて検定、競技会に臨みます。

というのも、検定や競技会で好成績を収めるのは、とっても名誉なことなんです。検定や競技会というひとつの「目標」に向かって並々ならぬ努力を重ね、そしてその結果が表れた「成績」なので、好成績を収めた隊員や部隊は一目置かれます。
自衛隊は、こんな訓練を積み重ねて「いざ」というときに備え、個人の能力や部隊のチームワークを高めているんです。

……と、今回はここまで。
「②国防や災害時の活動ための訓練」にはまだまだありますので、次回はこの続きをお話したいと思います。

画像引用:陸上自衛隊HP海上自衛隊HP航空自衛隊HP
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2017-05-20 | 女子にも分かる自衛隊

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